「報連相を徹底しろ」が、なぜ現場の判断を止めてしまうのか

「報告・連絡・相談を徹底しろ」
製造業の現場で、この言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。
しかし、ここで立ち止まって考える必要があります。
報連相を徹底すれば、本当に現場は強くなるのか。
答えは、否です。
■ 報告が増えるほど、現場が止まる理由
多くの工場で起きているのは、
報連相の「量」だけが増えている状態です。
報告書が増える。会議が増える。共有資料が増える。
一見、管理が行き届いているように見えます。
しかし実際には、判断は遅くなり、責任は曖昧になり、
「確認待ち」が増えていきます。
なぜか。
情報が、判断に使われていないからです。
■ 情報が「上がるだけ」の組織
多くの工場では、情報は「上に上げるもの」になっています。
報告して終わり。共有して終わり。提出して終わり。
その後、何がどう判断され、なぜその結論になったのかが、
現場に戻ってこない。
これでは、情報は学習になりません。
ある工場では、毎週月曜に「週報」を提出させる仕組みが
導入されていました。形式は整っている。
しかし若いリーダーはこう言いました。
「書いても何も変わらないんですよね。返事もないし、指示も来ない」
情報は上がっていた。しかし「使われていなかった」。
これは報連相の問題ではなく、情報設計の欠如でした。
■ 「相談してから動け」が奪うもの
現場でよく聞く言葉があります。
「それ、相談してからにしよう」「社長の判断を待とう」
一見、慎重で正しい判断のように見えます。
しかし、この言葉が常態化した組織では、
判断力が確実に失われていきます。
判断する機会を奪われ続けた現場は、
やがて考えることをやめます。
■ 判断できる情報とは何か
情報には、二種類あります。
見るための情報。
判断するための情報。
判断できる情報には、必ず基準がセットになっています。
・この数字を超えたら止める
・この条件なら現場判断
・ここから先は上位判断
基準がない情報は、ただの事実報告にすぎません。
■ 情報を設計するのは誰の仕事か
情報を設計するのは、現場の仕事ではありません。
経営の仕事です。
何を見てほしいのか。
何を判断してほしいのか。
どこまで任せるのか。
これを決めずに、「報連相を徹底しろ」と言うのは、
設計図なしで工場を建てるのと同じです。
この情報設計と判断基準の構築については、
新著『工場は利益を生む装置である』の
第1部・第2章で詳しく扱っています。
■ 自社の「情報の流れ」を見直したい方へ
「うちの会社も、報告は多いのに
判断には使われていない気がする」
そう感じたら、それは構造を見直す
タイミングのサインです。
どこから手をつければいいか分からない、
という段階でまったく問題ありません。
現状を一緒に整理するところから
お手伝いできます。
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